2021.7.27

第 8 回

渋谷教育渋谷 VS
広尾学園

都内の共学人気トップ2
はたしてその「実力」は?
歴史が浅いながらも
強い存在感を見せる2校

森上教育研究所 所長 森上展安氏

都内の共学人気トップ2

 今回は渋谷教育渋谷と広尾学園を取り上げます。
 この2校は東京における共学人気トップ2と言えます。ただし、「付属校はのぞいて」という条件付きですが。
 もう一つ条件をつければ「一般入試で」。さらにもう一つの条件を加えると「高い難度の入試では」となります。
 共学校でこの2校より多い受験生を集める人気校は14校ほどあります。しかし、その多くは有名付属校、あるいは適性検査型入試校です。進学校で高い偏差値の受験生を集めるのはこの2校しかないと言えるでしょう。
 実は、21年入試の2月1日受験者数は両校とも365人で、人数まで同じになっています。渋渋は19年入試までは400人台、広尾も昨年まで400人台の入試でした。この1・2年の減少は男子に片寄っており、男子校がこの2年復調したことが影響しています。
 両校の関係は、広尾学園から言えば、併願校のトップが渋渋だということになります。そして2番が今春から広尾小石川になりました。

強いグローバル志向

 また、両校の出口として、米国大学進学者が多いという特徴があり、進学者数においては広尾、大学のレベルにおいては渋渋が今のところ勝っています。
 上記の出口の特徴はそのまま入口の特徴でもあり、両校とも帰国子女受け入れに熱心で、彼らは海外大学進学の志向性があります。
 渋渋の海外志向は、先行した渋「幕」の学校づくりを都内で展開したからですが、広尾はそれをAP(アドバンスト・プログラム)という仕組みを導入して、システム化しています。こういうところは後発の工夫でしょう。グローバルを意識し、また、意識できるような学校づくりを他校より抜きん出て実践しています。前記したAPのために、広尾には十数人のネイティブが常勤しています。説明会などで彼らが一同に写っている写真をみせられると、他校のあまりの違いに圧倒させられます。

医学部実績で渋渋に迫る広尾

 大学進学実績は、広尾は渋渋にまだ水をあけられていますが、医学部実績は2021年春で渋渋58、広尾56と数では近接しています。医進サイエンスコースがあるためでしょう。以下、難関国立大は渋渋65 VS 広尾25。早慶上理は渋渋268 VS 広尾93、GMARCHは渋渋163 VS 広尾287で、上位大学実績で渋渋の壁は結構高いようです。

渋渋と渋幕、広尾と広尾小石川の「兄弟関係」

 生徒の男女比率は渋渋が100名ずつ、広尾は女子が約50名多くなっています。
 渋渋はご存じのように千葉に渋幕という兄(姉)貴分の学校があり、広尾も今春、広尾小石川という兄弟校(姉妹校)を開校しました。やはり2つの学校があるとクラブや行事、あるいは探究学習などの学外者を招いての研究などではそれなりの厚みができ、活動の幅も広がります。学校卒業後のネットワークも広げやすいと言えます。特に米大留学生のネットワークは両校とも心強いものがあります。渋渋の入試問題は記述式が多く、よく練られた問題になっています。広尾は急に難化している経緯があり、年々問題が難しくなっているように思われるかもしれませんが、要求されている学力はそれほど変わりません。ただ、英語で授業のあるコースのレベルは相当高いようです。