2021.5.12

第 6 回

慶應中等部 VS
慶應普通部

幅広い生徒が集まる中等部、
まことに自由な普通部
~伝統的な慶應
系列中2校の違い~

森上教育研究所 所長 森上展安氏

慶応義塾大学に隣接する2校

慶應系列校は伝統的な学校制度の在り方をしており、小中高が分離独立しています。もっとも、後からできた湘南藤沢だけは小中高一貫校です。
さて、今回取り上げる慶應の伝統的な2つの系列中は、言うまでもなく中等部が共学校、普通部が男子校です。片や三田キャンパスの隣地、片や日吉キャンパスと同じ最寄駅と大学キャンパスの傍にあるという点が共通しています。早大附属の2校と違う点です。

3日入試ながら第一志望者が
メインに集まる中等部女子

通常、2月1日入試校は第一志望者が多数を占め、2日、3日入試校は併願校ということで、第二、第三志望の受験生が多くなりますが、慶應系列の女子受け入れは中等部1校ですから、中等部は2月3日入試校ながら女子については第一志望者がメインになります。しかし男子については1日入試の普通部を第一志望とする受験者が主になり、同じく1日入試の麻布等との併願者も少なくありません。
ただいずれにしても慶應幼稚舎から上がってきた生徒が一定数を占めますから、どちらの学校も福沢精神で6カ年育てられた幼稚舎からの進学生がムードメーカーになります。 中学受験は、小学校受験や高校大学受験と大きく異なり、学力選抜一本ですから、よく噂されるOB優遇という都市伝説は幸か不幸か伝説に過ぎません。
とりわけ中等部は合格者の学力分布が比較的広いこともあり、そのような伝説が形成されやすいのも事実です。これは入試問題がいわゆる難問揃いというわけでもないことと、二次試験があるために、そのような伝説につながっているのだと思います。逆に中等部についての学力試験(つまり一次試験)のハードルは普通部に比べてやや低いとも言えます。
普通部についての話ですが、かつての校長が新入生を迎え入れる入学式の祝辞で、わが校は殺人以外は何でも起こりますと言ったとか言わないとか。まことに自由で、よく学びよく遊べをモットーとしており、その生徒文化は今も生きています。

卒業後、人間関係を
いったん白紙に戻す慶應の狙い

ところで共学は中等部止まりで、高校は男子が慶應義塾か慶應志木、女子が慶應女子に行きます。慶應女子は高校の外部募集は100名(推薦を含む)しか採りませんから狭き門で、濃密な人間関係が築かれます。
このように中学と高校で一度、人間関係を白紙に戻す学制は、今の一貫持ち上がりが多い風潮からすると非効率な感じがするかもしれません。しかし校内ヒエラルキーを一度崩すので、能力発揮を促す効用があるという見方もあるのです。何しろこの年頃は著しく成長しますが、早咲きあり遅咲きありで、正に「男子(今なら女子も)三日会わざれば刮目して見よ」の故事通りの疾風怒濤期ですから。
幸か不幸か、2校のいずれかを選べる男子について言うと、国語の問い方が両校でまるで異なります。別角度からの問いの立て方をします。向き不向きが国語で出るかもしれません。 女子の場合はやはり慶應医学部狙いが一定数います。
両校ともモデルはイギリスのパブリックスクールだと言われています。最近、篤志家がした寄付金を基に、学年2名程度の枠でアメリカのボーディングスクールに1年留学できる制度が各付属校にできました。新しい魅力です。