2021.4.7

第 5 回

早稲田中 VS
早実

女子に鍛えられる早実か、
男子同士で鍛え合う早稲田中か
~早大系属校ながら
まったく異なる2校~

森上教育研究所 所長 森上展安氏

公式ホームページでわかる
2校の近未来図

両校とも早稲田大学の系属校として有名ですが、これからさらに話題になりそうなことがホームページに出ています。まずは早稲田中のホームページ。校舎設置計画がイメージ図と共にドンと出ています。同校のメインの校舎の建て替えですからまさに大改造です。カフェスペースなどもあってかなり快適空間になりそうな高級感あふれる校舎です。
一方、早実は値上げと少人数クラスのお知らせがホームページに、こちらもドンと出てきます。少人数クラスに切り替えていくにあたって、定員が少なくなり、一人あたり高額になります。そのお知らせによれば現行の初年度学費は1,128,000円ですが、これが来年は114万円、再来年度は120万円、そしてその翌年は126万円、2025年度以降は132万円! ちなみに定員は現行125名から110名に減りますが、減るのは男子のみです(男子85→70、女子40→40)。
早稲田中は1学年300名、早実は現行で約225名(併設小学校から約100名入学)。これが約210名になります。当然学費も違っていて、早稲田は初年度学費が約100万円、早実は現状114万円ですが、上記の通りゆくゆくは132万円までになるとのこと。
一学年300名というのは大規模校であり、一方で約210名というのは中規模校になります。しかも300名の方が男子のみ。210名と少ない方が共学。そしてその当然の帰結として学費が相当違います。

早大進学後も存在感をみせる
優秀な早実女子

早実の前身は商業科もある高校でしたが、2001年の国分寺移転で共学校となり、付属小学校も設立して早大の基幹系属校になっています。大学における早実生の評価は高く、特に女子は優秀とされています。一方、早稲田中はもっとも古い早大系属校として誕生しながらも、昔も今も進学校で1979年に系属校という位置づけになり、運営の主体が早大になりましたが、東大に相当数の合格者を出す男子校屈指の進学校でもあります。早実は高校から180名入学者がおり、ここにスポーツ選手の推薦入学などがあり、甲子園のスターが誕生したりします。

海城と比較される早稲田中
早高院と比較される早実

違いが大きいのはやはり上記に加えて早大進学枠が大きく違う点です。早稲田中は50%なのですが、3年2学期までは最終的な進学先の学部が決まりません。他大進学もでき、早大も行けるというものの東大受験組は一般入試で早大に合格できるので、最終的な早大進学率は学年80%くらいになっています。なので中学受験生の学校選択では海城とよく比較されます。
逆に早実の方は早大進学率や規模からいっても中学定員120名と小さい早高院と比較されます。もっとも早高院は高校で100名募集し、早実は小学校から100名進学してきます。早実は小学校からの人数と中学で募集する人数が半々という構成なのです。もちろん早稲田中は高校募集がありません。実倍率は早稲田中の1回が3倍弱、早実の男子が3倍強、女子が4倍弱で高値安定しています。四谷大塚の男子難度はいずれも63~64、早実女子は68。前記したように早実男子の定員減がありますから、早実男子の難度も少しプラスになるかもしれません。
ということで、学校選びでかち合うことのない2校ですが(女子はもともとかち合いませんが)、体質もかなり異質です。ちなみに早実小の男女比は7:3。中学から入る男子を若干多くとって中高では2:1になる状況。そういえば先日筆者がNPOで共催している小学生プレゼンテーション大会に出場した早実小5年の男女ペアは大人顔負けの弁論でした。女子に鍛えられる早実男子か、男子同士で鍛えあう早稲田中か、男の子にとってどちらが幸せでしょうか。