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「栄光坂」を親子ふたりで
登り切った先に

トップクラスだった成績があることをきっかけに急降下…

栄光学園中合格

石田 尚也君(仮名)

 2月2日の朝、大船駅から続く「栄光坂」を黙々と登る受験生の長い列。この列に加わることができたことをお母様はただただ安堵していた。受験することすら危ぶまれた1年。試験会場に送り出せたことだけで胸がいっぱいだったと振り返る。
 小5の終わりまで成績はトップクラスだった。模試では約2000人中10番台をキープ。とりわけ算数が得意で満点を連発。最難関を狙うには十分な力をつけていた。雲行きが変わったのはコロナ禍で学校が休校になってから。授業がすべてオンラインになり、生活のリズムが狂った。毎日欠かさなかった計算練習すら手につかない。小6からは「もうグダグダになった」(尚也さん)。小1から通っていた集団塾も休みがちになり、TOMASだけが唯一の学習の場となった。講師は、ゲームに没頭してなかなか勉強が始められない哲大さんのために、ゲームで敵を倒す作戦のごとく、1つの問題に複数の視点からアプローチするなど工夫を重ねた。「TOMASの先生に声をかけ続けていただいたことで、かろうじて受験をあきらめずにいられました」(お母様)。
 そこからドラマティックな展開もなく、「グダグダ」のまま迎えた1月受験。初戦となる栄東中入試の前夜は、近隣のホテルに母子で前泊。夕食のビュッフェで蟹の食べ放題を堪能する尚也さんを見て、試験を翌日に控えた受験生がこんなに食べて大丈夫なのかと心配はまた増える。そんな不安をよそに、栄東中は東大クラスで合格。弾みをつけて挑んだ栄光学園中の試験は「この試験は一生に一度しかないと思って、楽しんで受験しました」(尚也さん)
 春から毎日ひとりで登ることになる栄光坂。「僕、体力に自信あるよ!」。無邪気な12歳は母を安心させるかのように声を弾ませた。

中学受験情報誌『Schola』掲載の合格家族インタビューより
個人情報が特定できないよう編集し転載しています