おかあさんの参考書
我が家流のアクティブラーニングを考える

我が家流のアクティブラーニングを考える

鳥居りんこ

今年のゴールデンウィークは10連休。子どもたちにとっても楽しみな休日でしょう。

しかしながら、中学受験を控える、特に6年生の親御さんにとっては、塾の課題も気になり、心の底からこの休日を楽しむ気持ちにはなれないかもしれません。

また、この時期の親は、「子どものやる気が下降気味」という悩みを抱えがちです。

今年のゴールデンウィークは、思い切って「フィールドワーク」に行こう

なぜなら、子どもにとっては、4月の進級に伴うクラス替えなどで神経を使うことが増え、塾は塾で学年を追うごとに難しい問題が多くなってくるので、子ども自身にも疲れが見え出すシーズンでもあるからです。

このように、「子どもがスランプだな」「いまひとつ、波に乗れていないな」という場合には、思い切って「フィールドワーク」のプチ旅行に行かれることをお勧めします。

これは現在、中高一貫校で当たり前のように実施されている「アクティブラーニング」(主体的・能動的学習)の“ご家庭版”です。

ここ最近、中高一貫校では、「知識詰め込み型の教育では、未来を生き抜く人間は作れない」という危機意識のもと、「自発的に考えて、行動する」という学習法を取り入れている学校が主流になってきました。

それに先んじて、ご家庭でもこのアクティブラーニングを実施していくと、とてもよい効果があらわれると聞いています。

例えば、化石に興味を持っている子なら、図鑑を見るだけではなく、半日程度で行ける場所で実際に化石発掘体験をしたり、地層を見に行ったりして、日頃、教室で行っている「座学」はどのように世界や社会と繋がっているのかを実感する機会にするのです。

実際に体験することで、今やっている学習の意味を見出すことができる

例えば、昨年はこういうことがありました。

東京・羽田空港の近くにある、都立東京港野鳥公園の「バードウォッチング」に参加した当時6年生の女の子は、その日が「やる気記念日」になったのだそうです。

彼女は最近、筆者にこう教えてくれました。

「それまでは漠然と、今の学校に行けたらいいなって思ってはいたのですが、あの日、鳥の観察をして『やっぱり、中学生になったら、あそこの生物部に入って、フィールドワークをしてみたい!』って気持ちが強くなって、勉強することが夢に近づく一歩になるように思えて、がんばることができました」

彼女は念願叶って、現在、その学校の生物部に在籍。高校生とともに出向くフィールドワークを楽しみにしているそうです。

このように、実際に手と足を使って「体験」することで、今やっている学習の意味を見出すことはとても多いのです。

身近な話題から、知識欲が増す動機付けをする

折しも、2024年度に紙幣が刷新されることが発表されました。

誰もが目にすることがあるお札の顔が変わります。

各模試では、今後しばらくこの話題を取り上げることが必須になるでしょう。

こういうニュースに接したときに、「渋沢栄一=日本資本主義の父」であるならば、「資本主義とはどういうものなのか」を子どもと一緒に考えてみる、あるいは「北里柴三郎=日本の細菌学の父」であるならば、ペスト菌や破傷風菌はどういう病原菌で、その治療法をどのように見つけ出したのかなどを食卓の話題に乗せるなどして、その人物像に迫るのもいいでしょう。

また、別の角度で、なぜ、紙幣を刷新するのかなどを考えてみてもいいでしょう。

そして、子どもが何かに興味を持ったら、その資料館なり博物館なりに、実際に行ってみることで、記憶にも残り、さらに知識欲が増す動機付けにもなります。

スランプに陥っている時には、特にお勧めの気分転換の方法です。

しかし一方で、仕事が忙しくて、とても子どもを外には連れ出せないという方も、たくさんおられると思います。

そういう方は、無理に「日帰り旅行」を組まなくとも、近所のスーパーマーケットに子どもと一緒に行くだけでも「体験」になります。

そこには、産地はもちろん、添加物、消費期限、パート労働、流通など、社会のあらゆる「問題」が凝縮されています。

何かお子さんが興味を示しそうな事柄を見つけて、スーパー内を一緒に見て回るだけでも、楽しい「実学」になりますね。

日常のどこにでも「興味」「関心」は落ちている

最近、こんな話を聞きました。

サバ缶好きの6年生男子が、2018年9月からの半年間で2回もサバ缶の値段が上がったことに疑問を持ち、なぜ価格が上がったのかを独自に調べたのだそうです。

お母さんに「高いから買わない。でも、お母さんに値上げの納得いく理由が説明できたならば、買ってあげる」と言われたのが理由のようです。

そこで、その男の子は、サバ缶を食べたい一心で、調べ出しました。

結論として、世の中は「需要と供給」というシステムで動いており、それが価格に反映すること、そして中国漁船の乱獲問題から、漁獲高と自然保護の問題にも、自分で気が付くことができたそうです。

サバ缶ひとつが世界と密接に繋がっていることを、自分で発見できたのは、「とても大きな進歩」と、お母さんが筆者に語ってくれました。

このように、日常のどこにでも「興味」「関心」は落ちています。

親が上手にそこを引き出してあげられるようになると、子どもの興味対象が深まり、今度は自発的に解を見つけたいと行動するようになるのでしょう。

中学受験時だからこそ、「我が家流のアクティブラーニング」を試してみると、いろいろなところにフックがかかり、結果的に好循環になるのだと、筆者は実感しております。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

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