おかあさんの参考書
中学受験の「結果」を考える

中学受験の「結果」を考える

鳥居りんこ

3月は受験の「準備期間」が始まる時期

今年も全国で行われた中学の入学試験が、2次募集などを除いて終了しました。

これは、いよいよ、新6年生が受験本番年を迎えたことを表します。

3月に入ると、各塾が主催する「今年度の中学受験分析会」という趣旨のイベントが行われますので、機会を見つけて参加してみるのも良いかと思います。

なぜなら、どの学校が人気だったとか、その受験日程、受験方法などの解説を聞くことで、最新の状況が理解しやすくなるからです。

そうして「基礎知識」を頭の隅に置いた上で、春から始まる「合同学校説明会」などに出向き、我が子に合っていると思われる学校をピックアップします。

そこで「ここはどうかな?」と思えた学校に、実際に出向くなどの「準備期間」が始まるのが3月なのです。

受験の結果は「努力の差」ではない

さて、今年度の受験も受験者数の面から見れば堅調で、人気校は今年も激戦となり、厳しい戦いが繰り広げられておりました。

中学受験は「1点差の勝負」と言われるほど、僅差の戦いだからです。

その学校を受験する児童の学力差に天と地ほどの差はなく、言葉は悪いですが、まさに「どんぐりの背比べ」のような状態にあります。

つまり、当日のコンディション次第で、良くも悪くも結果が変わってしまうのです。

波に乗れた子は、業界で言うところの「ミラクル合格」を成し遂げたりもしますし、反対に波に乗れなければ、信じられないほどに「合格切符」が遠のくケースも続出していきます。

やはり、中学受験は、親から離れてひとりだけで戦う「人生初めての経験」ですので、とても繊細な戦いとも言えるでしょう。

これから我が子に受験をさせようと考えている親御さんは、このことを忘れてはいけません。

中学受験は適正偏差値での受験(=自分の持ち偏差値を基準とした受験校のラインナップを組むこと)が中心となりますので、その結果は「努力の差」ではないということです。

例えば、割り当てられた机に若干のぐらつきがあった、教室内が暑かった、隣の子が自分よりも賢く見えた、というような些細なことが原因で、一瞬だけ集中力が途切れてしまうだけで、「1点をもぎ取れなかった」ということも多いのです。

当日の状態や調子も含めての「受験結果」ですが、「勝負は時の運」に支配される面が大きいということも、また確かでしょう。

「不合格」の結果に囚われて、大切なことを見失わないで

この結果が出たとき、もっと言えば「思わしくない結果」が出たときこそが、「親の器」が試されるときなのです。

親自身が「不合格」という結果に囚われ過ぎて、大切なことを見失ってはいけません。

「希望しない結果」が出たときにこそ、親は原点に立ち戻らなければなりません。

「自分はどうして我が子に中学受験をさせようとしたのか?」ということを、よくよく振り返ってみることをお勧めします。

中学受験はその準備期間も含めて、長期戦を強いられる戦いですので、当然ながらメリット、デメリットが出てきます。

親はそのデメリットも考慮に入れながら、メリットを考え抜き、我が子にこの道を選択させているはずです。

その「メリット」、つまりこの体験で我が子が得たものは何であったかを、今一度、多方面から冷静に分析してみることが肝要です。

最後まで諦めなかった気持ち。

過酷な状況下でも受験し続けたメンタル。

親や先生への感謝。

目標をひたすら追い求めた気持ち。

仲間同士で健闘を称え合った瞬間。

やりたい遊びも封印してきたことへの葛藤。

「解った!解けた!」という喜び。

……などなど。

我が子は挙げればキリがないほどのメリットを享受していることに気が付くでしょう。

熱望していた志望校への「合格切符」が得られなかったとしても、志望校に行けるほどの学力は付けているし、それは未来永劫、誰にも奪われるものではありません。

これらに気付いたとき、心から「我が家の受験は“いい受験”だった」「経験させて良かった」と思えるのではないでしょうか。

確かに、志望校の「合格」を目指して頑張っていることには違いないのですが、極論を言うと中学受験の目的は「合格」ではありません。

我が家流の「いい受験」ができたかどうかのほうが、「合格」よりもはるかに意味のあることなのです。

「我が家流の“いい受験”とは何か?」

これから中学受験本番を迎えるという親御さんは、今までも、これからも、何度も何度も、「この道が正しいのか?」と悩まれると思います。

その度に、思い返して下さい。

「我が家流の“いい受験”とは何か?」

そして、今日もがんばるお子さんに伴走していただきたいと願っております。

一方で、現6年生の結果が出た親御さんに筆者が申し上げたいのは、次の通りです。

親の仕事は「合否の確認総括」ではありません。

今は「いい受験」ができたかどうかだけを振り返ることで十分です。

そして、我が子の「成長」に思いを馳せて下さい。

これを成し遂げられたご家庭は、どんな学校に進学しようとも、6年後の未来に必ず「あれがあったから、今がある」と苦しく楽しかった中学受験に感謝しています。

暖かな春はもう、すぐそこまで来ています。

さあ、胸を張って、中学生活を楽しむ準備をしていきましょう。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

ブログ:湘南オバちゃんクラブ

Facebook: 鳥居りんこ

Youtube:鳥居りんこちゃんねる


鳥居先生 記事一覧

ALL

オススメ記事

記事一覧

ALL

お近くのTOMASを見学してみませんか?

マンツーマン授業のようすや教室の雰囲気を見学してみませんか?
校舎見学はいつでも大歓迎。お近くの校舎をお気軽にのぞいてみてくださいね。

首都圏駅前103校 校舎検索はこちら

校舎名をクリックすると、詳細をご覧になれます。

ひばりヶ丘校 大宮校 阿佐ヶ谷校 柏校 本八幡校 二子玉川校 津田沼校 錦糸町校 千葉校 成増校 北浦和校 川越校 南浦和校 所沢校 志木校 西日暮里校 池袋本部校 教務本部 八王子校 川口校 練馬校 大泉学園校 松戸校 高田馬場校 メディックTOMAS 市ヶ谷校 立川校 荻窪校 巣鴨校 三鷹校 府中校 赤羽校 飯田橋校 国分寺校 中野校 渋谷校 三軒茶屋校 調布校 笹塚校 目黒校 麻布校 聖蹟桜ヶ丘校 成城学園校 大森校 自由が丘校 町田校 本厚木校 武蔵小杉校 たまプラーザ校 蒲田校 横浜校 川崎校 門前仲町校 新百合ヶ丘校 千歳烏山校 青葉台校 藤沢校 新浦安校 下北沢校 上大岡校 千歳船橋校 葛西校 東戸塚校 日吉校 日吉校 南大沢校 四ッ谷校 田町校 浅草橋校 戸越校 センター北校 国立校 戸塚校 向ヶ丘遊園校 武蔵境校 メディックTOMAS横浜校 白山校 大崎校 石神井公園校 市川校 吉祥寺校 綱島校 海浜幕張校 下高井戸校 桜新町校 学芸大学校 多摩センター校 宮崎台校 スペックTOMAS自由が丘校 上尾校 メディックTOMAS大宮校 大船校 流山おおたかの森校 二俣川校 浜田山校 尾山台校 海老名校 大井町 中目黒校 勝どき校 月島校 メディックTOMAS渋谷校 御茶ノ水校 船橋校 用賀校