東京医科歯科大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて120分/問題数:大問2題
分析担当
安部 雄太

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 力学:非等速円運動、
単振動(単振り子)
慣性力、
エネルギー保存則、
運動量保存則、
反発係数の利用
論述式・
グラフ作成・
理由説明
標準~
やや難
2 電磁気:交流電源の
仕組み、RLC直列回路
論述式・
グラフ作成・
理由説明
標準

問題分析

  1. 【力学】前半の問題は1つの単振り子についてであり、非等速円運動におけるエネルギー保存則、慣性力を利用した速さ、張力の導出という基本的な問題から、張力を t (時間)の関数とした場合のグラフ作成、単振り子の振動角の大小による周期の比較という標準的な問題まで出題された。単振り子(単振動)の公式導出等を知っていれば特に問題なく解けるはずである。
    後半は2つの単振り子の n 回衝突を問う内容であった。衝突する位置が必ず 𝜃 = 0 となることや、繰り返し衝突における反発係数、運動量保存則の利用など、力学の知識が最低限必要となる。その上で、衝突ごとに速度の符号が入れ替わるため、状況ごとに正しく符号を考える必要があった。基本となる力学の知識があれば、解法までたどり着ける内容ではあるため、今年度における合否の分かれ目は、いかにこの部分でミスなく解答できたかにあったと思われる。
  2. 【電磁気】前半は交流電源についての問題であり、コイルに生じる電圧の導出の他、接続された抵抗に流れる電流を問う問題であった。典型問題ではあるが、抵抗の消費電力のグラフを作成するなど、どこまできちんと学習したかで差が出る内容であった。三角関数の利用の他、微積分を利用した公式導出も学習して、基本内容として知っておきたい。
    後半はRLC直列回路からの典型問題であり、こちらも交流回路の基本的知識があれば十分解くことができる。
    回路に流れる電流を角速度 𝜔 の関数としてグラフを作成して、漸近線を求めさせるなど、この大学ではグラフ作成、微積分を利用する内容も出題される。特別難しいわけではないため、落ち着いて処理したい。

総評

力学・電磁気からの大問2題構成であり、昨年度と難易度は大きく変わらない。
問題レベルとしては、標準~やや難としたが、一般的な国立大学と比べてレベルは高い。1では単振り子についての周期や速さ、振幅といったものをすぐに導出できる、反発係数や運動量保存則における繰り返し衝突における解法を知っている、ということが最低条件となり、そこまでが本大学の基本内容となる。2でも、交流電源の仕組み、RLC直列回路について自分で公式を導出できることはもちろん、各素子における電流・電圧はすぐに答えられる、といったしっかりとした物理の基盤が必要となる。
対策としては、まずこの基盤を作ることからである。公式の導出やグラフの作成等、各単元しっかりとした学習を行うことで、物理の基盤ができれば、本大学の問題を考える・解くというところまではたどり着ける。そこからは、レベルの高い問題を定期的に演習し、速く正確に解くことを意識した学習を行っていくことが望ましい。